[EIGHTH]不完全な集合体の均衡

読了したら書こうと思ってた、河内和泉先生の”EIGHTH”について、読書感想文的なことを書く。
漫画だけど。

【1】序

あまぞんで買うとこういう時便利だなぁ)Oo(・Д・)
2013年9月29日に1巻を買ったそうだ。
ちなみに1巻の発売は2010年1月22日。
つまり、最初からマークしてた作品ではなく、なんかキッカケがあって読み始めたんだけど、記憶にない。
多分おっぱいなんだろうけど(だまれ。

そう、最初は良くある女の子いっぱい出てきて、おっぱいおっぱいな漫画なんだろう、へ、どーせ、そうだろうよ、最近はそういうのじゃねぇと売れねぇからな、まぁいいけどよ。
・・・程度に考えてた。
つまらなければ次巻から買わなければいい、そういうもんだ。
それが、テオシントの話辺りから、この漫画、本気過ぎる、って感じ始めた。
読み始めから約3年、2016年7月22日、最終16巻が刊行。
11巻あたりで単行本の出版ペースにおいついて、本誌は絶対読まないので、単行本が出るのを心待ちにして、7月末に全話を読み終えることができた。

個人的には、是非読め、の作品に該当する。
好みは正直分かれるところかもしれない。
私は好きだってだけだし。


【2】おはなし

全体的には2人の登場人物、ナオヤとセルシアの出会いからそれぞれの生き方の物語。
エイス研究所の警備員であるナオヤと、生物の成長速度を促進させる謎の能力を持つ少女セルシアのお話。
第1話の時点では、囚われのお姫様セルシアを救出する、ありきたりな始まり方だけど、多分そのままありきたりな話だったら、セルシアが万事能力を使いまくって大団円みたいな大味な内容になるだろう。
そうじゃない。

万能ではない。
人を肉体的に傷つけることも精神的に傷つけることも沢山起こる。
それは(影の薄い)主人公であるナオヤ自身も過ちを起こしたり、考え方を思い違えたり、ストレートな思いが伝わらなかったり、そこに目に見えた人間っぽさ、(めちゃくちゃ強いけど)無敵のヒーローではない等身大の人間像がある。

一方、セルシアの感動的なシーンは、特殊な能力を持つ彼女にしか経験し得ない、生まれて初めて自由に外に出られたことを実感して涙するシーンかなぁ。
幼い頃からその能力を独占的に利用しようと、様々な組織に誘拐されたり、周囲の人が危害を加えられたり、殺伐とした環境下で育ってきて、ナオヤにエイス研へ連れてこられ、そこで初めて生き方を模索できるようになり、終盤に力強くその天然っぷりを発揮して「死ぬぞお前」と思うような大交渉をやらかすヒロイン。

どっちも他のアクが強すぎて、本当に影薄いなお前らって思うけど、しっかり主役、お話の軸として生きていた。


【3】登場人物 ~ 不完全な集合体の均衡

ほんとにこれ「不完全な集合体の均衡」
だって誰もが正しくも間違いもあり、絶対的な正義や悪なぞ何も無く、奮いたち、思い悩み、立ち上がって次に繋げていくその時にこの登場人物の集合体の中で、どれだけの最善の答えが導き出せるか、それがいくつもいくつも続いてた。

だから、一人ひとり登場人物について書かなければならない。
都合上若干ネタバレも含まれる気がするし、そうでないと説明がつかない。

ナオヤ・グラフィコ

本作主人公、彼がセルシアをイタリアの某研究所から連れ出したことから、この物語は始まる。エイス研究所警備員、物語主軸では17歳。
師匠ミラに警備員として以上のスキルを仕込まれ、ガードの中でも異質に強靭な精神を持つ。
でも完全無欠のヒーローじゃない(´・ω`・)
そもそもセルシアを実家に帰して知らんぷりしてしまえば済んだ話なのに彼は放っておけないからエイス研へ連れ帰ってしまった。
幼い頃は遺伝子疾患により外気に触れることすらできなかった。
これが後に・・・いや第1話から眠っていた伏線回収なのか、終盤で大アクシデントになるわけだけど、無事生還した。
研究の話を聴くのは好きだけど、理解できているわけじゃないのが度々あって、そのへんは読者と同じ目線なのかなと。

セルシア

本作ヒロイン(?)、ナオヤ同様に影が薄い(´・ω`・)
最後のほうめちゃくちゃ輝いてたけど。
根は素直で、正に穢れを知らぬ「聖女様」といったかんじ。
生命活動を促進する特殊能力を持つが故に巷の医療系研究機関の標的とされ、幼い頃から様々な組織をたらい回しにされ、幽閉されていたところをナオヤに助け出された。
ポカポカ叩いて駄々こねるシーンが割と好き。
エイス研に保護されてからは、所長の意向で能力を研究には使用されていない。
物語終盤までこの能力は「忌むべき能力」のように彼女自身捉われていたが、ようやくもって生まれた自分の個性、素養、世の中に出来ることとして肯定でき、物語序盤の彼女からは想像できない成長をする。

ヒカル・シンジョウ

何故か戦闘力が異常に高い系女子。ちっぱい。
父、シンジョウ博士と共にエイス研で暮らすこととなる。
ヒカルのツッコミが好き。
物凄くまっすぐで思いやりがある子で、それが故に我慢して我慢して自分の想いが分かって貰えない辛さで、序盤に酷い八つ当たりをする。
家事能力は妻(ヒカルの母)に逃げられたシンジョウ博士の身の回りの世話を小学生の頃からずっとやってきた手前、一線級。
・・・ていうか、もはや、子供部屋のパワフルおかん。
小学生時代の作り置き料理に対するシンジョウ博士の置手紙「ヒカルは天才すぎる」が結構いいエピソードだと思う。
常人を逸脱したレベルで胸があるエイス研周辺の女性を前にコンプレックスを度々さらけだす。

シンジョウ博士

ある手術に協力するために旧知の所長が居るエイス研に参加する日本人のおっちゃんにしてヒカルの父。
「パパだって巨乳だぞう」はウケた。
序盤以外に余り登場のシーンは無いけど、理性的でセルシアの能力を目の当たりにしても、むしろ「悪用を畏れる」という正義感ある人。
エイス研に参加するまでは、度重なる先進的な医療研究に対して日本国内の認可体制の矛盾などから、アマゾン奥地に隠棲していた。

真理(マリ)

まりぱい。以上(マテ
エイス研の中で、ヒエラルキーの最上位に居るような所長秘書。
この人がめっさ好き。まぁアレだよね。
1巻の表紙がナオヤと真理さんだしな。
完全に脇役キャラの筈が登場する度に謎の存在感を醸し出すスーパーおねえさん。
所長のセクハラに耐えるどころか、逆に小手先ではらう程度にいなす強さを持つ。

ルカ・ブルクハルト

ナオヤが最初に肉弾戦を演じたライバル(?)
ルカの朴訥さや不器用さも好き。
その実体はスイス傭兵団所属のバチカン大司教衛兵。
極度の潔癖症、セルシアに対する危険はとにかく徹底排除しか考えていない。
ローマ法王に庇護を求めるべく、セルシアをバチカンへ護送するが、彼の思いとは裏腹にセルシアを再び災いの渦中へ飛び込ませてしまう。
子供部屋に居るときは置物(´・ω`・)
バチカン衛兵らしく戦闘力は非常に高い。

天王寺りお

齢8歳にして分子生物学の大博士。
余りにも優秀すぎるが故に小学校低学年に属する彼女は、周囲とコミュニケーションが取れず、遠慮してしまい対人恐怖症気味である。
現実にあるiPS細胞の権威。
りお博士の講義は名前だけ知ってて実際どんなものか想像もつかなかったiPS細胞について理解できた。
研究中に倒れ、病院に搬送され白血病と診断される。
入院中に誘拐目的の襲撃を受け、カテーテルを引き抜かれかけるシーンは目を背けた(´・ω`・)
適切な処置が施され物語終盤では快復している。

シンヤ・グラフィコ

エイス研究所所長、登場から長らくは飄々とした歩くセクハラマシンだったが、話が進むにつれて”EIGHTH”という物語はシンヤ博士が主人公で彼自身の物語なのではないかとすら思うようになる。
主人公ナオヤの叔父にあたる。
親への反発が強く、感情も高めやすいが実は冷静ですげぇマルチタスクしてる人だなぁと思う。
ただ研究所のトップというだけでなく、生きてきた中で沢山の悲劇的経験も目の当たりにしているため、ただ頭のカタい研究者ではなく、非常に人道的で人間味に溢れるサングラスのおっさん。
セルシアの能力を使わない理由は、「得体の知れない証明できない能力を使うつもりはない」としているが、実際にはそれを自分が使わせろと強要するのではなく、セルシアが持って生まれた能力ならどうするのが一番なのか考える時間を与えたような気がする。

リエラ・ローゼン(ヴァレリア)

もはや存在自体が終盤のネタバレw
リエラ姐さん。
幼少期からの数々の経験から、孤児でありながら比較的恵まれた環境を与えられたナオヤに対して、物凄く敵愾心を持って挑むが、最後には自らの環境を変えるべく、或いはセルシア同様にナオヤによって人生の見え方を変えられた人。
めんどくさそうな顔する時が好き(´・д`・)
ある組織に属し、りお博士とセルシアを誘拐すべく襲撃を企てる。
中盤以降パッと現れて以来、その強烈な個性で物凄く目につきやすい人物描写である。

ミラ・マイヤース

シンヤ博士と過去から関係がある元FBI所属で、エイス研警備隊長の女性。
初登場から怖いw
男顔負けの戦闘能力を有し、ナオヤを鍛え上げる。
被保護下から精神的に脱しないナオヤの背中をポンと押すような言葉を投げかける母性の持ち主でもある。
ケンカの仲裁には発砲することが判明w
FBI時代に監禁されていた幼少期のリエラを保護した過去をもつ。

アンジェラ博士

植物遺伝子の権威、エイス研に所属、植物にしか執着がないまるで子供のようなワガママで残念な美人(つД;)
シンヤ博士とは大学時代から交友がある。
遺伝子組み換えトウモロコシの話だけで後は登場しないのかな?と思いきや事あるごとにナオヤ絡みで登場する。
自身の説明を理解させるためにはところかまわず、書けるところをホワイトボードがわりにマジックで書き始める。

アイザック

すげぇ無表情なワクチン開発の研究員。シンヤ博士とは旧知の仲。
終盤判明したが、ナオヤの過去にも関わっている。
ジョークとは思えないほど「ウイルスが目に見える」の信憑性が高い。
ウイルスとワクチンの説明で、アンジェラ博士同様にラクガキをする。

トリニティ

なんでよぉぉぉぉぉ!?
CDC職員のアンジェラ博士同様に残念な美人。
ワクチン打つために服脱がされたり、パシリにされたり登場するたびに散々な目にあう。
シンヤ博士的には苦手な女性。
とある事件(CDCの不手際?)をキッカケにエイス研に助力を求めてくるが、役人気質で天然開き直ってあつかましいw
彼女自身では頑張ろう、最善の結果を出そうとしているのに、結果的にそれが空回りしてしまって失敗するというもので、素質的には非常に優秀な人物。


【4】まとめ

やっぱりシンヤ博士の物語なのかな。と思う。
過去の辛いこと、外気に触れることすら許されなかったナオヤを一人前に育て上げる手段、自分ができることを考えたらエイス研究所を立ち上げて自分の城で好き勝手に正しいと信じることをやるしかなかった的な。

人が創造しえる可能性を残して”EIGHTH”という物語は幕を閉じる。

「どんな8番目にするのかは自分で決められることを
僕らはほんの少ししってる」

この言葉で物語は終わる。

警備員が七転八倒奮闘する話?
遺伝子工学の有り難いお話?
ヒロインの特殊能力が世界を救っていく話?
どれも違う。

人間がどんな経験をして、それを糧にどんな明日を考えることができるのか、変えていくことができるのか、を精一杯物語のキャスト全員が表現した話だと読んだ。

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